京都チョコレート協奏曲
〈メッチャかわいい。これに比べたら、うちが作ったチョコ、メッチャしょーもないわ〉
「せっかくの本命チョコなのに、そんなこと言わない」
〈ほ、本命とか、センセのほうから言うことちゃうやん!〉
「嘘じゃないんだから、いいだろ」
〈……センセのプレゼントは、本命なん?〉
今この場で言わされるんだよな。
できれば次に会うときに面と向かって言いたかったんだけど、一瞬一瞬が大切でわずかな時間さえ待てない17歳の女の子には、今この場でおれが告げる言葉こそが、世界でいちばん重要なんだろう。
「本命に決まってるよ」
スマホ越しの声が、くすぐったそうに笑う。
〈今度、もういっぺん、もっとちゃんと言うて〉
いとおしくて、笑ってしまう。
熱い吐息が白く曇って流れていく。
段だら模様が編み込まれた青いマフラーをそっとつかんで、おれは、バカバカしいほど甘い言葉をささやいた。
「了解。何度でも言うよ。本命の獲物は、つかまえて離さないから」
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京都チョコレート協奏曲
おしまい
☆.。.:*・゜
『幕末レクイエム』セルフパロディ。
新撰組の沖田総司、斎藤一、藤堂平助が京都で過ごしたのは大学から大学院にかけての年齢のころだったので、リアルに大学院生にしてしまいました。
魔が差しました。ゴメンナサイ。
2017.02.03


