大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「でも、湊お前……」
「海は好きなの、主に鑑賞する事が……だけどね」
だから、心配しないで。
みんなとなら、きっとどんな場所も楽しい場所になるような気がするから……。
そんな意味を込めて、心配そうな海斗におどけてみせる。
「そんなら、良いんだけどよ」
すると、海斗はホッとしたように口元を緩めた。
「うん、私も湊ちゃんが良いならそれで」
海斗と文子の気遣いに胸がポカポカする。
本当に、この人たちに出会えて良かった。
「ふむふむ、なんか湊ちゃん雰囲気が変わったなと思ったら……うん、海斗たちに会ったからなんだね」
「え??」
尚先輩は、テーブルに頬杖をついてニコリと笑う。
「前は……そうだなぁ、もっと無表情だった」
「あっ、それは……そうかも」
尚先輩の言う通りかも。
というか、周りから見てそう思うのなら、私は少しだけ変わったんだろう。
「やっぱり持つべきものは友達だねぇ!ついこの間読んだ『変人でも大丈夫!友達100人できるかな計画』にも書いてあったんだよ!」
「なんすか、その寂しすぎるネーミングの本は……」
海斗は可哀想な子を見る目で尚先輩を見た。
まぁ、確かに寂しいけど……。
確かに、悲しいけども!
「あっ、でも!私には気持ちわかりますよ!えと……私も、ネットとかで友達の作り方検索しちゃったり……」
「ふ、文子……」
海斗は、何か言わなきゃと顔を青くしてる。
なんというか……シビアだ、この状況。
「してます……し……あはは!」
「…………」
あーあ、ついに何も言えなくなってるし。
なんていうか……悲しいを通り越して、聞いてるのが辛いもんね。
今にもチーンっていう悲しい効果音が聞こえてきそう。
「まぁ……私達3人、学校では空気みたいな存在だから。海斗、気にすることないんじゃない?さらっと聞き流しなよ」
「きっ、聞き流せるか!!」
えぇ〜、せっかくアドバイスしたのに。
海斗はそう叫んで、額に手を当てると、頭を悩ませていた。
「でもまぁ、良かったよ、きみの楽しそうな姿が見れて!」
「突然ですね、尚先輩」
でも、尚先輩が私を見て嬉しそうな顔をしてる。
私のこと、尚先輩も心配してくれてたんだな。