大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「尚先輩……」
「うん?」
私、尚先輩にもちゃんと話したい。
全てとは言えないけど、海斗と文子に話した所までは。
だけど……言葉にするのって、すごく勇気がいる。
口に出した瞬間から、その事実を認めなきゃいけないから。
早織が……死んだって事実を。
この感覚は、何度経験しても慣れない。
「湊、頑張れ」
すると、そんな私の不安を察してか、海斗がそう言った。
そして、机の上で握り合わせた両手に、海斗の手が乗せられる。
温かくて……大きくて、安心する。
海斗の温もりから、勇気をもらえた。
「ありがとう、海斗……。尚先輩、実は私……」
そう言って海斗に笑いかけると、私は尚先輩にも、2人にした話をすることにした。
「……うん、やっと湊が儚げに見えた理由が分かったよ」
そして話終えると、尚先輩は静かに何度も頷いて、そう言った。
儚げに……私が、尚先輩の目にはそう映ってたんだ。
それに驚きながらも、尚先輩の言葉に耳を傾ける。
「言葉にするのも辛かったろうに、ありがとう湊」
「尚先輩……」
「俺に出来ることなら、何でも言ってほしい。きみは、俺の恩人だからね!」
ニコッと笑い、舌を出して横ピースをかます尚先輩。
え、このタイミングで変顔……。
本当に……予想の斜め上を行く変人っぷりだ、でも……。