大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「よーし、俺、砂のお城作っちゃうぞ!」
尚先輩は、砂浜に座り込むと、突然砂のお城の制作に取り掛かる。
それを私と海斗、文子の3人で呆然と見つめた。
「尚先輩って……なんか、子供みたいっすよね」
「えぇっ、海きたら砂の城作るでしょ、普通!」
普通……なんだ、お城作るの。
尚先輩には悪いけど、海斗の言った通り子供みたい。
「いや、作らないっすね」
「カルチャーショック!」
海斗の言葉にカルチャーショックを受けてる尚先輩を横目に、私は寄せては返る波を見つめる。
「それにしても、綺麗……」
太陽が乱反射してキラキラ、宝石みたいだなぁ……。
あの日見た、川の水面に似てる……。
――ザブンッ。
「っ……」
サンダルに波がかかって、体がビクッと震えた。
びっくりした……。
気が抜けすぎだ……また、いつあの幻覚にとらわれるか分からないのに。
私は、避難するために少しだけ後ろに下がる。