大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「湊、もっとこっち来とけって」
――グイッ。
「あっ……か、海斗?」
腕を後ろに引かれて、私は波からもっと遠ざけられる。
振り向けば、心配そうな海斗の顔が間近にあった。
わっ……海斗も、こっちをのぞき込んでたの!?
吐息がかかりそうで、ドキンッと心臓が跳ねる。
「あ、わ、悪いっ……っと、心配だったんだよ」
すると、海斗も顔を赤くして私から離れた。
海斗、何で赤くなったりするの?
まるで……私のこと、気にしてくれてるみたいだ。
なんて……そんなわけないのにね。
浮かんだ馬鹿な考えをすぐに頭から追い出して、私は海斗に向き直る。
「あ、ありがとう海斗……でも、大丈夫だよ。それに、海が綺麗だなって思ってたから」
海斗を安心させたいっていう気持ちがあったけど、これは本当。
本当に、この景色を綺麗だと思って眺めてた。
「そ、そっか……それならいいんだけどよ。なら湊、少しだけ、足だけでも浸けてみねぇ?」
「えっ……でも、それはまだ……」
「もしもの時は、俺がこの手を離さねぇーからさ!」
そう言った海斗は、掬うように私の手を握った。
まだ、怖い……。
でも、いつまでもこのままっていうのも嫌だ。
なにより、海斗と一緒なら出来るかもしれない……。