大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「湊、怖いか??」
「っ……海斗……うん、怖い」
私は耐えらず、本音が零れた。
そんな私の頭を、海斗は空いている方の手で安心させるようにポンポンと撫でる。
「なら、俺の顔だけ見てろ」
「えっ……」
「俺の顔だけ見て、ほら……こっち来いよ」
海斗の顔だけを……。
言われた通りに海斗の顔を見つめる。
こんな風に、改めて見つめるのって……初めてかも。
「大丈夫、俺を信じろ、湊!」
「あっ……」
――ドキンッ、ドキンッ。
あぁ、心臓がうるさくなってきた……。
それに、こうして手を引いてもらうのって、なんか……。
子供に戻ったみたいで、くすぐったい。
「ほら、ここまで来れたじゃん」
「え……あ、本当だ……っ」
すると、いつの間にか私は、海の中へと足を踏み入れていた。
冷たい海水は、うだるような暑さには心地よいオアシスのように思える。
不思議……海斗と手を繋いでいるからか、海斗の顔を見ていたからなのか……。
今は、水が怖くないみたい……。