大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「湊、怖いか??」


「っ……海斗……うん、怖い」



私は耐えらず、本音が零れた。


そんな私の頭を、海斗は空いている方の手で安心させるようにポンポンと撫でる。



「なら、俺の顔だけ見てろ」


「えっ……」


「俺の顔だけ見て、ほら……こっち来いよ」



海斗の顔だけを……。

言われた通りに海斗の顔を見つめる。

こんな風に、改めて見つめるのって……初めてかも。



「大丈夫、俺を信じろ、湊!」


「あっ……」



――ドキンッ、ドキンッ。



あぁ、心臓がうるさくなってきた……。

それに、こうして手を引いてもらうのって、なんか……。

子供に戻ったみたいで、くすぐったい。



「ほら、ここまで来れたじゃん」


「え……あ、本当だ……っ」


すると、いつの間にか私は、海の中へと足を踏み入れていた。


冷たい海水は、うだるような暑さには心地よいオアシスのように思える。


不思議……海斗と手を繋いでいるからか、海斗の顔を見ていたからなのか……。

今は、水が怖くないみたい……。




< 131 / 228 >

この作品をシェア

pagetop