大好きなきみへ、あの約束をもう一度



***


夕日が、世界を茜に染める頃。

みんなが帰路について、海に残った人は、チラホラと数人のみになった。



「本当に楽しかったねぇ〜」


尚先輩の話を聞きながら、みんなで砂浜に敷いたレジャーシートなどを片付ける。



『ねぇ湊、海を見て!』


「え……?」



早織に言われて顔をあげれば、瞬く間に夕日が照らす海の美しさに目を奪われた。


『オレンジに染まってて、すっごく綺麗だね!』


「本当に……」



私は、片付けしてる手を止めて、引き寄せられるように、夕日が照らす海へと少しずつ歩いていく。



『湊、こんな景色が見れてよかった』


「うん、私も……。家にいたいとか言わないで、もっと早織と……思い出、作っておけば良かったな」



そう、こういう一瞬の綺麗な思い出を、早織と重ねたかった。

そう思えば思うほど、切なく苦しい。

泣きそうになって、必死に目に力を入れた。



『私は、どんな形でも湊とこの景色を見れて嬉しいよ』


「早織……ありがとう」


あなたの言葉は、いつだって私を救ってくれる。

しばらく、静かに海を見つめていると、後ろで砂浜を踏む音が聞こえた。



「1人で見てるなんて、つれないじゃねーの」


「あ……海斗」



振り返る前に聞こえた声に、私は海斗だと気づく。

海斗も、海見に来たのかな……。

すごく、綺麗だもんね。

思わず、片付けの手を止めちゃうほどに。


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