大好きなきみへ、あの約束をもう一度


「肉じゃが、美味しいわ。……小学生の時、湊が初めて作ってくれたのよね」


「お母さん、覚えててくれたの?」


「当たり前じゃない、大事な娘のことだもの」


お母さん……。

大事な娘か……だからこそ、お母さんは真剣に私を心配してくれてたんだ。


「お父さんもいなかったあなたに、寂しい想いをさせてしまったことが申し訳なくて、どう接していいのか分からなくなった時期があったんだけど……」


「お母さん、私は寂しいだなんて思ってない。だって、お母さんがいてくれたから」


「ふふっ、あなたね、この肉じゃがを作った時も同じこと言ってくれたのよ」


えっ、そうだったんだ……。

小さくて、それは覚えてなかったな。

でも、お母さんは楽しそうに微笑んでいる。

それが嬉しくて私も笑った。


「湊がいてくれたから、私はお母さんっていう幸せを知ることが出来た。こんなにも愛しいって思う気持ちを教えてくれたの……」


「っ……お母さん……」


こんなに私を想ってくれてたのに……。

それなのに、酷いことを言ってしまった。

だから、ちゃんと謝らないと……。


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