大好きなきみへ、あの約束をもう一度



『でも私は、湊を傷つけたくない……。だから、前みたいに湊の前に現れることは出来ないよ?それでも……』



そう、早織が私の前に幻覚として現れてるうちは、きっと……。

私はどんどん幻覚に囚われて、頭痛だけじゃない。

現実と幻の境もつかなくなって、最後にはおかしくなってたかもしれない。


それを早織は心配してるんだ。



『それでも……傍にいてくれるの?』


不安げな早織に、私は笑った。


姿が見えなくても、私はいつでも早織を想うよ。

きみを忘れない、だから……私の中で、私と一緒に見届けてほしい。


早織が、生きていたら見るはずだった未来を。

きっと、まだ見ぬ夢と希望に溢れた世界を。


『あぁ……嬉しいっ、嬉しいよ、湊っ』



そう言った早織は泣いているように見えた。

そして、静かに光り輝き、輪郭がぼやけていく。


――ズキンッ。

あぁ、早織が消えていく……。

たとえ、私の中に戻るのだとしても、この瞬間は……辛いな。

心臓が、何度も針で刺されるように痛む。



『湊、湊は私の光だった』

え……?

光は、早織の方だよ。

いろんな人を惹き付けて、救ってくれる。

まるで、陽だまりみたいに暖かくて、眩しい光。




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