大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「か弱そうに見える時もあるし、強い一面も持ってる。ますます湊のこと、知りたくなったわ」


「……知ったところで私、別に面白味ないし」


「あのなぁ、湊は自分を過小評価しすぎだぞ」



過小評価か……。

早織にもよく、似たようなことを言われるな。

湊は自分の魅力に気づいてないって。



「まさか、海斗にも同じこと言われるなんて……」


不思議だな、やっぱり海斗はどこか、早織に似てる。

容姿がとかじゃなくて、明るくて周りを惹き付けて……。


気づかないうちに、ポロッと零した一言で周りの人を救うんだ。


「俺にもって、どういうこと?」


「え、いや……何でもない」


だって、早織が言ってたなんて信じてもらえないし。



「なんか気になる言い方だな、尚先輩とか?」



やけに、食い気味に聞いてくる。

海斗、そんなこと聞いて何の得があるんだろう。

というか、どうしてここで尚先輩が出てくるの?



「お前、尚先輩と仲良いよな」


「え、別に普通だよ」



委員会が一緒だし、この学校の中ではよく喋るけど。

今は海斗の方が喋ってるし。


何だかんだで一緒に音楽室に向かいながらそう答えた。



「んー、なんか俺が一番じゃないのが悔しいんだよな。なぁ、何でだろうな?」


「……はい?」



首をかしげてる海斗に私はポカンとする。

そんなこと、私に聞かれても……。


「んー……」


その後も、海斗は1人でブツブツ言いながら、何か考え込んでいた。



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