大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「湊のことは、俺が送りますんで」
「な、なんでそうなるの??海斗は関係ないじゃん」
「うるさい、関係無いとか言うなし」
えー、なんでちょっとイライラしてるの?
ムッとする海斗に背中を押されて、私たちは尚先輩を置いて一緒に帰る羽目になった。
「…………」
「…………」
しばらく、無言が続く帰り道。
私は、雨粒が水たまりに落ちて、波紋を作る様を見つめていた。
――ザァーッ……ブクブクブク。
「え……?」
水たまりを見つめていたら、急に自分が水の中にいるような、くぐもった音が聞こえてくる。
世界がほの暗い青に染まっていく。
まるで、夢でも見ているみたいに、あの日早織と溺れた川の中に似た錯覚を起こす。
い、嫌だ……嫌っ。
ドクンッ、ドクンッと、心臓が嫌な音を立てた。
早織、早織は……どこにいるの?
とてつもない不安が胸を支配し始めた時……。
「……なと、湊!!」
「あっ……」
海斗に名前を呼ばれてハッとする。
海斗の心配そうな顔を見た途端、急に世界がクリアに見えた。