大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「ちげーよ、調子悪いのは、ここだ」



そう言って、海斗は自分の胸をおさえた。


ここって、胸……?

海斗、何言ってるんだろう、どういう意味?


私は、戸惑いながら海斗を見上げる。



「湊の心が、悲鳴あげてんのかってこと」


「あっ……」



そういうことか……。

私の心が、悲鳴をあげてる……うん、そうだ。

私は、今壊れそうな程に胸が痛いから。


自分の胸をおさえると、頭の上にポンッと海斗が手を乗せてきた。



「辛い時は、辛いって言わねーと、いつか自分の気持ちが分からなくなっちまうぞ」

「え……?」

「隠そうとしてるうちに、心が麻痺しちまう。だから、無理して、一人で耐えようとすんな」


まるで、慰めるように撫でる手が、私の凍りついた心を溶かしていくように。


静かに、涙がひとしずく頬を伝った。


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