大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「本当は……」
言いたい、言ってしまいたい。
本当は、胸が張り裂けそうなくらい辛いことがあるって。
「私……っ」
なのに……まだ怖い。
どうせ、早織のことも幻だって馬鹿にされる。
クラスの人達がいい例だ。
「そうだ、みんなには分からない……」
私を、一人でブツブツ喋ってる変人だと思ってる。
何も、何も知らないくせにっ。
「何もっ……知らないくせにっ……」
爪がくい込むほどに拳を握った。
すると、その手を静かに海斗に取られる。
「馬鹿、それ以上自分のこと傷つけんな!」
海斗は慌てたように私の握った拳を優しく開いていった。
すると、爪の痕が残っていて、それを指で優しく撫でてくれる。
「痕になってんじゃんか……強く握りすぎだって」
「いいんだよ、私がどうなろうと……」
だって、私があの時……。
あぁ、もう何度思い出しただろう。
早織を、助けられなかった時のこと。