大好きなきみへ、あの約束をもう一度



***


高校2年生の6月。

私は今、早織がいなくなる前の日常へと戻っている。



「おはよー、ねぇ、明日の授業最悪じゃない?」


「あー、確かに、ゴローの授業じゃん」


朝登校してくると、生徒達の楽しそうな声が聞こえてきた。


そう、これが日常。

でも、誰の声もどこか遠くに感じて、雑音としてしか返ってこない。

……そう、ただ1人を除いては。



『ねぇ湊、またオシャレしないの?』


「どうして、オシャレが必要なの?ここは、勉強する場所でしょ」



私は肩にかかった長い天然パーマの黒髪を払う。

Yシャツに灰色のブレザーとスカートを身につけて、こうして教室の自分の席へと着席した。


そう、これが私の日常。

時は進んだのに、私の心はずっと早織を失う前の時間にとり残されてる。


『高校生活は勉強だけじゃないんだよ?』


「早織は勉強をもっとした方がいいんじゃないの」


『ふふっ、私はいいんだよ。湊さえ、学校生活を楽しく過ごしてくれれば』



そう、私に声かけてくれるこの人は、早織。

あの日、私の前から消えてしまった……大切な親友だった。

早織は変わらぬ姿で、私の前に現れる。


どんな時も、何があっても一緒、離れないという約束を守って、傍にいてくれた。


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