大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「ねぇ見て、真木さん、また1人で喋ってるよ」
「こわっ!!気持ち悪いよねぇ〜」
遠くで、私を気味悪がる生徒の声が聞こえる。
でも、そんなもの気にもならなかった。
何より重要なのは、私の傍に早織がいてくれる、ただそれだけなんだから。
「アイツ、本当に不思議だよな」
そう言ってこっちを見てきたのは、クラスの人気者、高橋 海斗(たかはし かいと)。
ミルクティーのような淡い髪色のナチュラルショートヘアーに、どのパーツとっても整った顔立ちの男子。
「でもさ、真木って顔はすげー良くね?」
「あー、美人系だよな」
……本当に、人の噂話ばっかして楽しいの?
男子たちの馬鹿な会話に気づかないフリをしながら、早織だけを見つめる。
そう、早織の姿は誰にも見えない、私にだけ見えるんだ。
病院では大切な人を失った喪失感からくる、ストレス性の幻覚だって言われたけど……。
だけど……私にとっては早織が何者かなんて重要じゃない。
そう、私の傍にさえいてくれればそれでいいんだ。
「それだけで……」
今、目の前で微笑んでくれている早織に、私はぎこちなく笑い返す。
もう2度と、あんな痛みを味わいたくない。
だからこそ、これからは早織と生きていくって、決めてるんだ。