大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「本気で、分からねぇーの?」
そう言ってた海斗が、私と距離をつめてきた。
え、海斗何する気……。
見たことないくらいに、真剣な顔をしている海斗。
それに驚いていると……。
――ダンッ!!
海斗が立ったまま、座っている私を追い詰めるようにして、後ろのカウンターに手を置く。
「か、海斗……?」
海斗の腕の中で、私は戸惑いながら顔を上げた。
「俺は、湊のことが心配だ。自分でも驚くくらい、お前のことを考えてんだよ……」
海斗は形のいい眉を八の字に下げて、悲しげに見つめてくる。
それが苦しくて、息ができなくなりそうになった。
「だから、私のことなんて……」
「無理だ、それなら、お前と言葉を交わす前に戻らねーと。もう、気になったら坂道転がるみたいに……」
私の言葉を遮った海斗が、私の頬に手を添えた。
それが、心なしか震えているように感じる。
海斗、何を言うつもりなんだろう。
その言葉の続きを、聞きたいような聞きたくないような……。
そんな不安に駆られるのはどうして?
「お前のことで、頭の中いっぱいになってんだから」
「あっ……」
――トクンッ。
それは、まるで告白みたいだ。
そんな、海斗が私のことをそんなふうに見るはずないのに。
なのに、心臓は飽きれるくらい素直に動揺する。
だから、そういう思わせぶりなことを言わないでほしい。