大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「あんま見んなし……真剣だったんだぞ、俺」


その真っ赤な顔に私は驚いて、すぐに笑いがこみ上げてきた。

だって、耳までりんごみたいに赤いんだ。



「海斗って……ふふっ」



なんだか、海斗って可笑しい。

強気なのか、弱気なのか分からないや。

つい笑ってしまうと、海斗が私の顔を見つめたまま目を見開いているのに気づく。



「海斗?」


「あ、いや……悪い。湊がちゃんと笑ってる所、初めてみたからさ。すげー、可愛いのな!」



……可愛い?

はっ、今海斗、可愛いって言わなかった?



照れくさそうにニカッと笑う海斗に、トクンッと心臓が跳ねる。

海斗といると、心臓が変になるから嫌だ。




「……えーと……尚先輩、どうしちゃったんだろう」



うぅ、あからさますぎかな……?

苦し紛れに尚先輩のこと聞くなんて……っ。

不自然ってわかってても、話をそらすしかなかった。

だって、このままだと……心臓止まっちゃう。



「あ、尚先輩のことだけど、湊が寝てる間にここに来たんだよ」


「え、そうだったの?なんだ、起こしてくれれば良かったのに……って、ならどうしてここにいないの?」



もう16時45分、あと15分で図書室は締めることになってる。

あの、図書委員に全力を賭けてる尚先輩が、委員会にこないなんて、珍しい……というか、ありえない。




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