エリート外科医の一途な求愛
返ってくるのは、なんともごもっともな返事。
先生の言う通り、つい今しがた研修医から受け取ったブルーのユニフォームを身に着ける気配を、背中で感じる。


「いいぞ」と合図のような声が聞こえて、私はそおっと振り返った。
顔を覆った手の指の隙間から覗いてみて、ようやくホッと息をつく。
各務先生が先に向かい側のソファに座るのに続いて、私もゆっくり腰を下ろした。


「さ、早速ご説明しますね。いつもの高瀬さんからのお話なんですが……」


動揺してしまった自分を落ち着けようと、私はわざと取り澄ましながら前置きした。
そして、膝の上で手帳を開く。


「いつものように、大学での講義、オペの様子、外来診察や病棟回診などの密着撮影の他に……」


意識して少し早口で言いながら、真正面から向けられる刺すような視線に、変な汗が額に滲むのを感じた。


「こ、今回、プライベートの先生も多く撮りたいらしく、それで……」


続ける声が、ちょっと上擦る。
頬が熱くなってくるのがわかる。
私は言葉を切り、思い切って顔を上げた。


「話し辛いので、ジロジロ見ないでくれませんか」

「ああ、悪い。意外だな~って思ったから」


私が頬を膨らませるのを見ると、各務先生は意外とあっさりと謝って、私の目の前で長い足を大きく組み上げた。
< 46 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop