エリート外科医の一途な求愛
「な、何がですか」


妙に色気を感じるその仕草に軽く怯み、私はどもりながら聞き返した。
それを聞いて、各務先生は黒子がある方の口角をわずかに上げる。


「いや。男の裸くらいでずいぶんとウブな反応するんだなって」


からかうように言ってニヤリと笑う各務先生に、私はカッと頬を火照らせた。


「何が言いたいんですか。バカにしてます?」

「いいえ。ちょっと新鮮だったんでね」

「……普通、ただの職場の上司が目の前で脱ぐなんて思いません。断りもなく脱がれたら、驚くのが普通でしょう」


言い訳通り、素で驚いてドキッとしてしまった。
それを見透かされた上、わざわざ感想を述べられて、負け惜しみだと自覚しながら、刺々しく言い返した。


「先に『着替えるぞ』って断ったら、ダメですって言っただろ?」


組んだ足の上に肘をのせ、背を屈めて頬杖をつきながら、各務先生が見据えるような瞳を私に向ける。
その半端ない目力に鼓動が加速するのを感じて、私は慌てて目を逸らした。


「は、話の続きをしてもいいですか」


とにかく早く説明を終えて、デスクに戻りたい。
その一心で、私はすっかり逸れてしまった話を元に戻そうと、つっけんどんな口調でそう言った。
< 47 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop