イジワル上司に甘く捕獲されました
「橘、もう今日は帰れ」
「えっ、大丈夫です、私っ。
ね、熱もないですし。
藤井さんだってすごい量の案件抱えられてますしっ」
瀬尾さんに掴まれた腕をほどいて、勢いよく歩き出した私は。
後ろから伸びてきた瀬尾さんの長い腕に抱きすくめられた。
「……せお、さん?」
いきなりのことに頭が回らない。
私、体調が本当に悪くなった?
ううん、だって。
この香りは瀬尾さんの香りで。
私のお腹にまわされた長い腕から伝わる瀬尾さんの強い力。
……私、瀬尾さんに抱きしめられているの?
「……心配だから、今日は帰れ」
囁くような小さな声が耳元で聞こえる。
ドクンッ……!
私の心臓の音は絶対に瀬尾さんに聞こえている、それくらい大きな音を立てっぱなしで。
……顔が見えなくてよかった。
私、今、本当に真っ赤な顔をしている……。
「……わかった?」
瀬尾さんの香りが移りそうなくらいの距離から聞こえる声に。
私はただただコクンと頷く。
私の返事に納得したのか瀬尾さんは腕をほどいて、私を自分の正面に向き直らせた。
「俺は今から外出だから送ってやれないけど、営業フロアに戻らずにタクシーで帰れ。
早退手続きや後処理は俺がしておくから。
……帰宅したら電話しろ。
わかった?」
ポン、と私の頭に軽く手をのせて俯く私に瀬尾さんが言う。
「か、過保護すぎます……瀬尾さん、こ、こんな風に女子社員にしてたら誤解されますよ……」
すでに機能しなくなっていた私の思考回路は返事だけはできたみたいで。
諦めようとしているのに、と口から言葉が出そうになるのを必死でこらえる。
「えっ、大丈夫です、私っ。
ね、熱もないですし。
藤井さんだってすごい量の案件抱えられてますしっ」
瀬尾さんに掴まれた腕をほどいて、勢いよく歩き出した私は。
後ろから伸びてきた瀬尾さんの長い腕に抱きすくめられた。
「……せお、さん?」
いきなりのことに頭が回らない。
私、体調が本当に悪くなった?
ううん、だって。
この香りは瀬尾さんの香りで。
私のお腹にまわされた長い腕から伝わる瀬尾さんの強い力。
……私、瀬尾さんに抱きしめられているの?
「……心配だから、今日は帰れ」
囁くような小さな声が耳元で聞こえる。
ドクンッ……!
私の心臓の音は絶対に瀬尾さんに聞こえている、それくらい大きな音を立てっぱなしで。
……顔が見えなくてよかった。
私、今、本当に真っ赤な顔をしている……。
「……わかった?」
瀬尾さんの香りが移りそうなくらいの距離から聞こえる声に。
私はただただコクンと頷く。
私の返事に納得したのか瀬尾さんは腕をほどいて、私を自分の正面に向き直らせた。
「俺は今から外出だから送ってやれないけど、営業フロアに戻らずにタクシーで帰れ。
早退手続きや後処理は俺がしておくから。
……帰宅したら電話しろ。
わかった?」
ポン、と私の頭に軽く手をのせて俯く私に瀬尾さんが言う。
「か、過保護すぎます……瀬尾さん、こ、こんな風に女子社員にしてたら誤解されますよ……」
すでに機能しなくなっていた私の思考回路は返事だけはできたみたいで。
諦めようとしているのに、と口から言葉が出そうになるのを必死でこらえる。