イジワル上司に甘く捕獲されました
「真央……お前、絶対今、俺の存在を忘れてただろ……。
お邪魔します、美羽さん」

真央を軽く睨みながらもにこやかに私に挨拶をしてくれる翔くん。

「どうぞ、どうぞ。
ごめんね、翔くん。
真央を迎えに行ってもらって……」

「いや、俺も真央に早く会いたかったので。
元気に無事帰国してくれて良かったです」

優しく微笑むその顔には真央への愛情が溢れていて、真央は幸せだなと心から思った。

私よりも年下だけれども本当に翔くんはしっかりしているなあと感心しながら。

真央は自室に入って、懐かしい、とキャアキャア騒いでいる。

「真央、キャリーバッグどうするんだ?」

大きな声で廊下から真央に呼びかけながら翔くんは私に向き直った。

「美羽さん、真央、テンションは高いんですけど、疲れていると思うので、とりあえず車の中に残っている荷物だけ運んだら俺はお暇します。
美羽さんと話したいことがいっぱいあるんだってずっと言ってましたし。
真央にはまた明日疲れてなかったら、迎えに来るって言ってあるので」

「そっか、本当に甘えるだけ甘えちゃってごめんね」

謝る私に笑顔を向けて、翔くんは玄関から出ていった。

「真央?
翔くん、荷物運んだら帰るって言ってるよ?」

「あ、うん。
さっき車で聞いた。
気を遣ってくれてるみたい、そういうところ、さすが翔だなって思ってた。
じゃ、バイバイもちゃんとしたいから、エントランスに行って荷物を貰ってくるね」

言うが早いか、サンダルを履いて真央も玄関を出ていった。

私はふうっと一息ついて。

ポケットからスマートフォンを取り出して、潤さんに電話をした。

今日は土曜日。

あいにく、潤さんは仕事だと言っていたけれど、真央が無事に帰国したら連絡してと頼まれていた。

真央のことを心配してくれている潤さんの気持ちが嬉しかった。

何度かの呼び出し音の後、潤さんが出た。



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