イジワル上司に甘く捕獲されました
「橘さん」
静寂の中、凛とした声が響いた。
驚いて振り向くと。
気まずそうな表情の峰岸さんがいた。
「……一緒に行くわ」
小さな声でそう言って峰岸さんは足早に私を追い越して休憩コーナーにある自動販売機のスペースに向かった。
「み、峰岸さん……大丈夫ですよ」
私が峰岸さんの背中に声をかけると、峰岸さんが振り返った。
今日一日、外出をしていたり電話をしていたにもかかわらず、隙のないベージュのパンツスーツ姿に疲れを見せない顔。
勿論化粧もくずれていなくて。
美人具合は今も健在だ。
「……悪かったわ」
目を伏せながら弱々しい声で峰岸さんが言った。
「……え?」
「昼間はごめんなさい。
取り乱して慌ててしまって。
……あなたは悪くないのに。
八つ当たりみたいなことをしてしまった。
……上司失格ね」
「……峰岸さん……」
驚いた。
まさか峰岸さんが私に謝るなんて。
あまりにポカンとした表情をしていたのか、峰岸さんはもう一度私の名前を呼んだ。
「……橘さん?」
「あっ、はい。
み、峰岸さんが謝る必要はないです。
私も……オロオロして焦るばかりでお役にたてませんでしたから」
「そう?
あなたはよくやっているわ。
通常の銀行業務から離れた異例な仕事内容が多い中で的確にこなしているもの」
「……そんな……」
「本心よ。
私、仕事に責任をもたない人は嫌いだし、お世辞も苦手なの。
……謝ることも苦手だけど」
どことなくバツが悪そうな表情の峰岸さんが、年上の上司だけどすごく可愛らしい女性に見えて思わず笑ってしまった。
失礼ね、と峰岸さんも薄く笑う。
その瞬間、峰岸さんと私の間にいつも凍りつくように横たわっていた張りつめた空気が少し和らいだ気がした。
静寂の中、凛とした声が響いた。
驚いて振り向くと。
気まずそうな表情の峰岸さんがいた。
「……一緒に行くわ」
小さな声でそう言って峰岸さんは足早に私を追い越して休憩コーナーにある自動販売機のスペースに向かった。
「み、峰岸さん……大丈夫ですよ」
私が峰岸さんの背中に声をかけると、峰岸さんが振り返った。
今日一日、外出をしていたり電話をしていたにもかかわらず、隙のないベージュのパンツスーツ姿に疲れを見せない顔。
勿論化粧もくずれていなくて。
美人具合は今も健在だ。
「……悪かったわ」
目を伏せながら弱々しい声で峰岸さんが言った。
「……え?」
「昼間はごめんなさい。
取り乱して慌ててしまって。
……あなたは悪くないのに。
八つ当たりみたいなことをしてしまった。
……上司失格ね」
「……峰岸さん……」
驚いた。
まさか峰岸さんが私に謝るなんて。
あまりにポカンとした表情をしていたのか、峰岸さんはもう一度私の名前を呼んだ。
「……橘さん?」
「あっ、はい。
み、峰岸さんが謝る必要はないです。
私も……オロオロして焦るばかりでお役にたてませんでしたから」
「そう?
あなたはよくやっているわ。
通常の銀行業務から離れた異例な仕事内容が多い中で的確にこなしているもの」
「……そんな……」
「本心よ。
私、仕事に責任をもたない人は嫌いだし、お世辞も苦手なの。
……謝ることも苦手だけど」
どことなくバツが悪そうな表情の峰岸さんが、年上の上司だけどすごく可愛らしい女性に見えて思わず笑ってしまった。
失礼ね、と峰岸さんも薄く笑う。
その瞬間、峰岸さんと私の間にいつも凍りつくように横たわっていた張りつめた空気が少し和らいだ気がした。