イジワル上司に甘く捕獲されました
「橘さん、札幌支店にプロジェクトチームの助っ人として着任してもらったのだけど……橘さんも知っているように今、プロジェクトは橘さん達、チームの皆のおかげで一段落している状態だ。
あの案内状以来大きなトラブルもなく、上手くシステムが機能してきている。
それで、本部と相談した結果、立ち上げとしてのプロジェクトチームの解散が決定した。
ここだけの話だけれど、プロジェクトの立ち上げに尽力してくれた瀬尾くんも近々正式に峰岸くんに後任を任せることになる予定だ」

バシッと頬を叩かれたような衝撃だった。

……わかっていたことなのに。

胸が苦しい。

何て表現してよいかわからない気持ちがせりあがる。

……多分私は今、泣きたい筈。

だけど、喉の奥はヒリヒリしているのに顔が強張って動かない。

……今、私はどんな表情をしているのだろう。

傍らに座る峰岸さんの表情はわからない。

……潤さんは私から目を逸らして、口を固く引き結んでいる。

その表情が読めなくて、潤さんが今、何を思っているかもわからない。

そのことが、より私の不安を煽る。

……きっと私に話す前に、話の内容を知っていたのだろう。

あくまでも私を労うような温和な話し方の皆川さん。

皆川さんが言っていることは何一つ間違っていない、正論だ。

プロジェクトは確かに一段落している。

私も最近では通常業務に携わっている時間のほうが多い。

わかっている。

……わかっている。

だけど。

ここにいたい。

公私混同だけど。

社会人のくせに甘ったれたことをって言われるけれど。

それでも。

潤さんと離れたくない。

口をついて言葉が思わず零れそうになった時。

峰岸さんが口を挟んだ。

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