イジワル上司に甘く捕獲されました
翔くんと離れてしまうことも真央はとても寂しそうにしていたけれど。

翔くんは海外出張も多いので近くに行った際は会えるようにするよ、と何ともスケールの大きい話を二人でしていた。

「そうだっ!」

スクッと大声をあげていきなり立ち上がった真央。

「な、何、どうしたの?
真央、窓全開だから声が響くよ……」

真央はニィッと笑って、スマートフォンを取り出して何処かに電話をかけだした。

数回のコール音の後、相手が出たらしく、話し始める。

「突然お電話すみません、橘真央です。
あっ、そうです。
その節は姉がお世話になりました。
あの、突然ですが、ちょっと姉のことでお話をしたいことがあるのですが、もし、今、ご在宅でしたら伺ってよろしいでしょうか?」

ペラペラと捲し立てる真央。

ん?

姉のこと?

今から?

誰に電話しているの……?

限りなく嫌な予感を抱えながら。

通話を終えた真央に聞く。

「……真央、今、誰に電話したの?」

「ほらっ、美羽ちゃん、行くよ。
早く戸締まりして。
化粧は……まあ一応しているからいいね。
服も……そのダルダルのシャツをこっちに着替えてね」

私の質問には答えずテキパキと指示する真央に。

反論できずに言われるがままに着替えて戸締まりをして、あれよあれよと連れてこられた場所は。
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