イジワル上司に甘く捕獲されました
おずおず私が言うと。

繋いだ手を離して。

私の頭をポン、と叩いて。

クシャッと表情を崩して笑ってくれた。

ドクンッ……。

私の心臓が、ひとつとても大きな音をたてる。

瀬尾さんの笑顔は私にはそれほどの衝撃だった。

立ち止まってスマートフォンを操作している桔梗さん。

そんな桔梗さんのスマートフォンを横から覗きこんでいる瀬尾さんを。

道行く人がチラチラ見ている。

一旦二人の横を通りすぎてから振り返る女性のグループもいて。

ああ、やっぱり。

この人達は本当に誰が見てもカッコいいんだなと実感する。

私が二人を客観視している間に、お店が決まったみたいで。

桔梗さんがお店に電話をしている。

それから瀬尾さんに手招きをされて。

私達はお店に向かって歩き出した。

カラリと晴れた空はとても綺麗で。

気持ちも自然に明るくなる。

桔梗さんが選んでくれたのは最近オープンしたばかりのイタリアンのお店だった。

私達のマンションからそれほど離れていなくて、白い壁に青い屋根がとても映えていた。

お昼時のせいか、店内は混み合っていて。

桔梗さんが、先にお店に入って店員さんに名前を告げていた時。

「瀬尾さん?」

女性の声がした。





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