断罪アリス
『殺せよ、あいつらを……』
「うるさ──」
『あーあー、あ?ちゃんとマイク入ってるか?』
俺の中の≪僕≫に怒鳴ろうとしたら、その声をスピーカーを通した男の人の声に遮られた。
この声は確か……寿永さん?
『入ってるよ、此処がONになってるでしょ』
今度は寿永さんの声ではなく、理事長の呆れたような声が聞こえた。
「依良と周、間に合ったみたいだね。」
すると、俺の隣に立ったアリスさんは満足そうにニヤリと笑った。
『あ、ホントだ。気を取り直して……ンン゛!……って、何す──』
『前置きが長いから俺が言う。学内の学生及び講師に告ぐ。冷静さを取り戻し、速やかに講堂に集まりなさい、繰り返す。学内の学生及び講師──って、周!』
『あと、切碕とその仲間に告ぐ!逃げるなら今だぞ!うちの奴らがそろそろ突入するからな。3、2、1……突入!』
二人はスピーカーの向こうでマイクの取り合いをしているらしく、たまにゴンッとマイクが落ちる音がする。
そして、警告の後にすぐ突入とか切碕の仲間達は逃げられるはずがない。
「子供か、あいつらは……」
風間さんは呆れたように頭を押さえた。
そんな彼の脇にいるアリスさんは「楽しそう……」と羨ましそうにしていた。
「アリスさん……、これは……」
状況の把握が出来ない俺はアリスさんに視線を向けた。