Spice‼︎
その夜は結局、梨花もヒロも部屋には帰ってこなかった。

梨花はヒロに再び逢いに行った。

髪が濡れたまま入ってきた梨花を見て
ヒロはただ事ではないと思った。

ヒロは事務所に梨花を連れて行き
ヒーターのスイッチを入れた。

「髪、乾かして。」

「ヒロくん、今夜は二人でホテルに泊まろう。」

「あの人と一緒に居たくないの?」

「うん。」

結局、夜は近くのホテルに二人で泊まった。

「あの人のこと愛してるんでしょう?」

途端に梨花は泣きそうな顔をした。

「風間くんをこれ以上愛したくないの。」

「それは俺に気を遣って?」

梨花は首を振ってヒロにキスをする。

「そうじゃないよ。

私がヒロくんと一緒にいたいの。」

「友達だから?」

「うん。大切な友達だから。」

そして今度はヒロの方からキスをする。

「梨花は俺より複雑だよね。
2人も別れたい男がいるし…」

ヒロは梨花の身体に触れていく。

梨花の白い肌に舌を這わせると
梨花の口から吐息とともに甘い声が漏れる。

「俺たちこんなに寝ていいのかな?友達なのに…」

「いいの。そうじゃなきゃお互い逆戻りしそうじゃない?」

「そっか。」

ヒロは希を断ち切るために
梨花は桐原と風間を断ち切るために
お互いを慰め合う。

「ヒロのカラダ好きだな。」

梨花はヒロの胸に顔を埋めてそう言った。

「俺も梨花のカラダが好きだよ。

でも…カラダだけじゃない。」

「私もカラダだけなんて思ってないよ。」

「だけど利用してるでしょ?」

「お互いね。」

「うん。利用してるんだけど…死ぬほど気持ちいい。」

そしてお互いのカラダに溺れた後は抱きしめあって子供みたいに眠る。

まるで仲のいい兄妹みたいに…。

梨花自身、ヒロといる時が一番落ち着いた。

このまま桐原と風間が居なくても大丈夫な気さえしてる。

だけど…2人を断ち切るのは梨花にはとても大変な事だ。

それでももう傷つきたくなかった。

ヒロを愛せればどんなに楽だろうと思いながら
ヒロの身体に溺れる。

それでも何度ヒロに抱かれても梨花の身体は
あの三角関係の恋しさとスリルを忘れられなかった。






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