Spice‼︎

桐原と別れてヒロのバーに寄った。

「浮かない顔してるね？何かあった？」

ヒロは仕事柄人の顔色をよく観ている。

「桐原部長に会ってきたの。」

「上海に行くこと言ったんだ？

反対したでしょ？」

「うん。」

「どうするの？やっぱりやめる？」

梨花は答えに迷っている。

「梨花…桐原さんがどうしても欲しい？」

「そういうわけじゃないけど…」

「俺はあの人を選んで欲しくない。

梨花には風間くんのが合ってるよ。」

「風間くんはダメだよ。

私といっしょに居たら…全部失っちゃう。」

「桐原さんも同じでしょ？

むしろ風間くんより失うものは大きいと思う。

家族を捨てさせるって結構しんどいよ。

親なら縁は簡単に切れることはないけど…
配偶者は所詮他人だからね。

切れたらそこで本当に終わりなんだ。

梨花はそこまでして桐原さんが欲しい？」

「そうだよね。

桐原部長は離婚するって簡単に言うけど…
簡単じゃないよね。」

考えてみたらあんなに冷たい桐原の何処がそんなに良いのか自分でもわからない。

不倫なんて誰も幸せにならない。

現にヒロだって希のところに行くのを躊躇ってる。

人の家庭を壊すという事は
梨花が思ってるよりずっと重い事なのだ。

「梨花…上海に行ってリセットするのも良いけど…
風間くんはきっと梨花を待ってると思う。」

梨花は桐原に会って混乱してしまい、
自分が今どうすべきか
全くわからなくなった。