ある日、ビルの中、王子様に囚われました。


目と目の間を押さえて首を振る。
天宮さんから会議に行きたくないオーラをひしひしと感じられた。

「ありました。地田さま、こちらです」

コトンと大きなお皿を置かれ中を覗くと、色んな種類のお菓子が詰め込まれていた。

「頂きもののお菓子ですが消費できずに困っていたのでお願い致しますね」
「お、お菓子を仕事中に食べるなんて、無理です。それにさっき食事を頂いたばかりで」
「仕事ならありますよ! 来客の対応をお願いします。此方の電話を取って名前を確認して私に取り次いでくださればいいので」

今しがた、天宮さんから説明されたばかりだから分かる。
来客なんてこのフロアにめったに来ない事を知ってる。

「私、意外と事務処理できますよ」
「いえ。地田さまは此処に居て身の安全を保証できることだけでも立派な仕事なんです」

何を言っても取りつく島もなく言いくるめられている気分だ。

天宮さんと黒岩さんにとって私みたいな小娘の言動なんて簡単に捻り潰してしまえるぐらい他愛無いものなのかもしれない。

「君の仕事は、まずは誰かに甘えてみるってことかな」



困った顔でお菓子と子機と黒岩さんを見ていた私に、子どもをあやす様な口調で言われた。

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