ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「君や、明良もそうだけど、親に学費を使いこまれた時点で誰かに相談するか甘えるべきだった。そうすればこんな事態になる前に自分たちに祖父がいると分かっていたしこんな面倒に巻き込まれないで済んだかもしれない」
「甘えるなんて他人に出来るわけないじゃないですか。家族にさえ出来なかったのに」
「だから今、最大に甘やかそうとしているのでこれ以上は文句を言わずに黙って甘やかされててくれませんか?」
また有無を言わさない笑顔で言われ、その銀のフレームの眼鏡がきらっと一瞬光った気がした。
……なんで天宮さんって声まで格好いいんだろう。
私が今、ドキドキと胸を高鳴らせているのはきっと言われた言葉ではなく声だと思いたい。
だってドキドキしてるということは、その言葉に心が動揺しているって証拠だから。
甘えていいだなんて、真に受けてはいけない。
こんな高級ビルの中、甘い言葉を囁かれ、私の感覚は麻痺していっている。
今が最大に甘やかされている状況なのに。