ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「確かに、地田さまの仰るとおりです。貴方みたいな考えを皆さまがして下されば、すぐに会議なんて終わりますでしょう」
「はい。是非、早く教えてあげてください」
私がそう言うと、目を細めて頷いて下さった。
が、それ以上は何も言わず、パソコンの方へ目を移す。
私も子機の電話とにらめっこしながら、視界の隅にちらちら見える高級菓子に唾を飲んだ。
今はランチでお腹が一杯だから耐えられたけれど、本当ならば普段食べれないお菓子は食べたい。
あんな贅沢品なんて手を伸ばすことさえおこがましいから、できたらさっさと全部食べてほしいぐらいだ。
そんな調子で視界に入るし手持無沙汰だしと、黒岩さんに何か仕事を貰おうと立ち上がった。
そんな私を監視しているかのように子機が震えだして慌てて取った。
「は、はい。此方バランサです……」
名前を名乗るべきか、はたまた社長室を告げるべきだったか衝動的に電話を取ってしまった自分を呪う。
ちらりと黒岩さんを見れば、笑いをこらえて横を向いている。
『あ、奥さんだ。天宮の奥さん』
が、その声は先ほど別れたばかりの新澤さんだった。
「地田さま、監視カメラの映像です」
「え、ええ!?」