ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
起きると、パリッとしたスーツに身を包んだ天宮さんがそこに居た。
「ああ、起きた? おはようございます」
「お、おはようございます?」
ソファに眠っていた時と違うスーツだし、前髪もちゃんとセットして後ろへ流してるし、メガネも時計もしてる。
数時間前の無防備な天宮さんが思い出せれないほど、いつも通りの天宮さんだった。
私は再びベッドに戻されてるってことは移動させてくれたのかな。
「昨日はすいません。車に着替えを取りに戻ろうとしたんですが、何故か力尽きてしまし、此処のソファで眠ってしまいました」
「あ、いえ。此処は天宮さんが取ってくれたホテルだし、お仕事大変そうですし」
「あるがとうございます。今が踏ん張りどころってかんじです」
余裕の笑顔で珈琲を飲んでいたが、良く見れば二人分の朝食が用意されていた。
「わあ……良い匂い」
「ビル内の全てのレストランから朝食のルームサービスが頼めるんです。一緒に、と思いまして」
「か、顔洗ってきます!」
バタバタと走る慌ただしい私とは対照的に、優雅にソファに座る天宮さんは朝から素敵だった。
疲れているはずなのに、この余裕はなんなんだろう。