ある日、ビルの中、王子様に囚われました。


まだ温かいバケット、四種類のジャム、湯気立ったスープ。割るとチーズが蕩けるオムレツ。
昨日から、仕事もしないで美味しいものを食べてばかりな気がする。

食事をしている途中でクリーニングしたい服を取りに来てくれていた。
天宮さんがスーツを数点出していたので、もしかしたら天宮さんは私をここに招く前ここに泊まっていたのかもしれない。

「家に帰れないほど忙しかったんですか?」

「いえ。ここならカーテンの開け閉めさえボタ一つで楽だから、かな。家に素敵なお嫁さんが待っててくれるなら、這ってでも帰りますよ」

「這ってでも」

全然想像できなくて笑うと、天宮さんは苦笑した。

「君の為なら這ってでも帰るよって意味だったんだけど」

「えっ」

「次はもう少し、ストレートに言います」
け、けっこうストレートに言ってくれてるので、これ以上は言わないで大丈夫です。
と思いつつも、目の前の御馳走の味が分からなくなるぐらい胸がドキドキしてきた。

「咲良さんは、ここに閉じ込められて俺に腹立ったりしてませんか?」

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