ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「ここ2,3日でうちの会社の弱点が分かったってことですね」
黒岩さんが深く溜息を吐きながら、社長室の窓から外を眺める。
「弱点?」
「そうです。貴方のご両親の時にも感じていたのですが、副社長がそこを指摘してから、今日でそれが取り除かれると思います」
「天宮さんって凄いんですね。なんか空の上の存在です」
隣に居るのに、現実にいるように思えない。完璧すぎて驚いてしまう。
「皆さまそう言われますよ。女性社員が王子様だとか紳士だ、笑顔が甘いとか騒いでおりますからね」
「やっぱりそうなんだ」
だからこそ、昨日の眼鏡を外した無防備な姿がちょっと新鮮だった。可愛いとさえ思えた。
「何でも一人で解決してしまうので、社長はもっと頼って欲しそうでしたが、今回の件できっと社長も考え方を変えられると思います」
今回の件。
それって自分が体調悪くなったから、改めて副社長の実力に気付いたってことかな。
「お疲れ様――」
黒岩さんに珈琲を渡しているところに、へろへろになった新澤さんが現れた。
新澤さんは私たちを見ようともせず、倒れるようにソファに座った。
「ああ。俺も珈琲飲みたい」
「い、入れてきます!」
「いいよー。君にさせたら天宮に殺されてしまう」