ある日、ビルの中、王子様に囚われました。

「……」
新澤さんが頭を押さえて、下を向く。
考えてる。悩んでいる。
でも私は、籠の中囚われたまま、捉えた人がどんな人か知らないで餌を待つほど馬鹿じゃない。

「……私ならその会議を終わらせられるかもしれません」

「いや、確実にそうなんだけどさ、うーん」

「行きましょう。さあ! さあ!」
ネクタイを上へ引っ張り無理やりソファから立ち上がらせて扉まで引きずると、新澤さんは観念したのか私の手から簡単にネクタイを抜きとった。

「ただし絶対に自分が社長の孫だって言ったら駄目だからね」
そう言われて、小さく頷いた。




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