ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「それっておかしいんじゃないかしら?」
新澤さんが入ってきたのに、一瞥するだけか苦々しく見る人たち。
と、ホッと胸を下ろす社員さんたち。
「ですから、社長が持っている自株ですが、これは退職と同時に社に返還することになっていまして――」
「それは退職、でしょ。こんな風に病死の場合は違うと思うのよ。身内も財産放棄したおぼっちゃましかいないようですし」
得意げに、ペラペラと話している方に驚いた。
父と同じ顔だ。父の顔にウィッグを付けた感じ。
「社長は回復されてきていますので、無駄な話は後回しでいいでしょうか」
ぴしゃりと言いはなった天宮さんの言葉に、新澤さん以上の敵意の視線が向けられていた。
「経営や会社の今後に口を出せないようですので、社長の仕事の引き継ぎは此方でします」
「貴方だって経営なんて分からないから、学ばないといけないわ。どうせ社長には貴方が就任すると思ってたんでしょうが、貴方はまだ若いわ。私か、私の旦那が務めます。貴方はもう少し勉強しなさい」