ある日、ビルの中、王子様に囚われました。

「今まで顔だって出さなかった人が社長に就任ねえ。無理な話し過ぎて退屈です」

兄が発言したあと、珈琲を一気飲みした。
その動作で、私は思いだして慌てて珈琲カップを下げに回る。
お兄ちゃんと天宮さんはまだ気付いている様子はなかった。

「俺は、社長なんてまだまだと思っていますが、社長の会社を傾かせるぐらいなら自分が継ぎます」
その声に、会社の役員たちから拍手が起こる。
こんなにおじいちゃんの親戚が幅を効かせている状況で、指示する拍手は天宮さんがどんなに慕われているか分かる。

天宮さんたち社員は、会社の今後を話しあいたいのに、地田一族は会社の株やお祖父さんの遺産、会社の権利等ずれた内容ばかりを自分たちの権利だと主張して平行線だった。

「そんなに会社がー、会社が―って言うなら、今頃どこかで野たれ死んでいるかもしれないお孫さんと政略結婚すればいいのよ。そうしたら、貴方が社長は間違いないわね、天宮副社長」

うわ。

珈琲を丁度回収しようとした相手が、いきなりストレートに毒を吐いた。

「貴方、顔は良いんだし簡単に騙せそうじゃない。貧乏してるだろう孫を、誘惑だなんて。ああ。もしかしてもうしてるのかしら」

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