ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「あのな、あの会議は遊びみたいに見えるかもしれないが遊びじゃねえんだぞ」
疲れた顔で髪をクシャクシャしながらお兄ちゃんがエレベーターの中で座り込んだ。
「だって、お兄ちゃん達が大変そうだったから覗いてみたかったの」
確かに空気は淀んでいたし、重かったり最高に悪かった。
「……あの空気を一掃できるのって、孫である私が天宮さんと結婚するのが一番なんだなって改めて理解できたよ」
「咲良」
「そうしたら、身内の暴走も抑えられる権力が手に入るってわけだね。うん。――浚われた理由が分かっちゃった」
「だから、ちゃんと真実を見ろって、何を信じるか考えろって」
苛ついた声でお兄ちゃんはエレベーターの窓から外を見下ろした。
私も見下ろしながらこの数日間の事をぐるぐる感じていた。
「ちょっと早いけど、じいさんのいるスイートルームに案内するから」
「え」
「新澤は二度と信用しないし、黒岩さんが迎えに行けるまで居ていいから」
その言葉に面食らいつつも、頷く。
すると胸ポケットから一枚のカードを渡された。
「スイートルームの51階は入ると宿泊者専用ゲートの前にスタッフがいるけど、もう予約してるから案内に従えば問題ないから」