なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

そして、後退りしてきたチャラ男が上がったのは、花壇の上。

それを追い込むように長瀬も上がる。


土の上につく足跡。


そしてチャラ男のケツの跡。


ちなみに、この土。


草むしりから、土作りまで、私が1週間かけて作り上げたもの。


ふっわふわのサッラサラに仕上げた私の自信作。



「な…長瀬…!学校内で暴力沙汰なんて起こしてみろ!お前また停学くらうぞ!」


「それが?」


長瀬は怯えているチャラ男をあざ嘲笑うと、ペッと何かを吐き出した。


まさかと思ってその物体に目を凝らす。


花壇の周りを囲うレンガにへばりついたのは…



…………“ガム”………ではないか。




「……花枝先輩?」


その光景を見た瞬間、私の心に“平和”と書かれた大きな風船が浮遊し出す。


その下に吹き矢を持ったおじさんがスタスタと歩いてくる。


そして、そのおじさんはこちらに向けて丁寧にお辞儀をしたかと思うと、その風船めがけて…………吹き矢を放った!


––––パァンッ!!!


という音と共に、心の中で弾け飛んだ“平和”と言う名の風船。
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