なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
転がっていた球根をおもむろに引っ掴んで、長瀬の眼前に突き出す。
「学校って所はねっ!!あんただけの場所じゃないのっ!!みんなの場所なのっ!!あんたんちのゴミ箱だと思ったら大間違なのっ!!ぺっぺぺっぺガム吐きやがって、おのれはラクダか!?!?地面にくっついたガムをガリガリガリガリヘラでこするのは誰だっ!?私だっ!!つーか、あんたがヤレッてのっ!!!」
私は、ジャージのポケットに装備していたヘラを取り出し、乱暴に長瀬の手に握らせる。
「喧嘩しようが何しようが構わないけどねっ!よそでやって!!無関係なヤツまで巻き込むなっ!!それと!ガムは紙に包んでゴミ箱にっ!!
分かった!?!?」
「………………分かった」
私がビシッとさした指の先で、ヘラを持ちながらポツリ返事をする長瀬。
「分かればいいのよ!分かれ……ば……」
全て言い終わり、肩で息をしながら呼吸を整えていると、頭に上っていた血液が今度は逆にさーっと引いていくのを感じた。
あ……。
しまった……。
わ、私……何言った?
やってしまった感の否めない私の心情に反して、周りでは「おー!!」という声と共に拍手喝采が沸き起こる。