なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「すげー!あの長瀬を言い負かした!」


だとか、


「あの長瀬が自分の過ちを認めたぞ!」


だとか、


「あの人先輩!?ちょー怖い!ちょーカッコイイ!」


だとか、言っている中。



皆様見えてます?


私のこの尋常じゃない冷や汗の量。



この平和をこよなく愛する私が、こんな公衆の面前で人様に説教など…!


しかも、学校いち有名なヤンキーなんかに…!


しかもしかも、もはや記憶にはございませんが、そりゃあもうボロクソに言ったような……!



長瀬と視線が交わる。


ひぃっ!!


めっちゃ見てる!めっちゃガン見してるっ!!



すると、長瀬は私の前にスッと屈み込むと、私の足元にへたり込み、すっかり忘れ去られていたチャラ男の首根っこを掴み、ペイッと花壇の上からどかす。


そして、自分も花壇から下りると、まだへばりついてはいない様子の自分が吐き捨てたガムを拾って、おもむろにポケットを漁りだし、「あった」と言って何かのレシートみたいな物に包んで、またポケットにしまう。



こ……これは……?



そして更に、散らばった球根達を拾い上げ、「玉ねぎと何がちげーんだ…?」とひとり言を言いながら適当にバケツの中に放り込んでいく。
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