なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
頭を抱え、机に突っ伏する私に茉莉はクスッと息を漏らして笑うと、私の頭をよしよしと撫でた。


「咲希。それが“恋”ってやつだよ。
平和を貫いてきた咲希にとっては、自覚するのはもの凄く勇気のいることだと思う。でも、きっといつかそんなのどうでも良くなっちゃうくらい、気持ちが溢れてきて自覚せざるを得なくなる時がくるから。仕方ないからさ、ここからは私も大人しく待ってあげるよ」


「……よく分かんない」


「分からなくていいよ」


分からないよ。


だって、それじゃ私がまるで、長瀬に対する恋心を無理矢理押し込めてるみたいじゃない。


好きだって自覚する勇気がないから、躊躇してるみたいじゃない。


まったく茉莉ったら、どれだけ私と長瀬をくっつけたいの。


私は長瀬のことなんて、これっぽっちも恋愛対象に見てないんだってば。


ただちょっと……今まで突き放しても突き放しても私の側を離れなかった長瀬が、いつか私じゃない誰かの側で居場所を見つける。


それはちょっと…ちょっとだけ…


寂しいかもしれないなって。


ほんとにほんとにちょっとだけそう思っただけで…。
< 181 / 345 >

この作品をシェア

pagetop