なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
だって長瀬は、平和で平凡で物音一つしなかった私の世界に土足で踏み込んできたうえに、散々踏み荒らした。


静かだった私の世界は、アイツの声ばっかり響いて、長瀬を知らなかった時の私の世界がどんなに静かなものだったか思い出せないんだ。


静かな世界に戻るのが、私は少しだけ怖い…。



バカ長瀬。


簡単に乗り換えられるんなら、好きだなんて言うな。


あんたは散々女遊びしてきたかもしれないよ?


こんなこと、何度だってあったのかもしれない。


だけど、私は初めてだったんだから。


あんな風に、誰かに『好き』って言われるのも。


大切にされるのも––––––。




その日、長瀬に対するもやもやは、何をしていても付きまとって、どんなことをしてもなくならなかった。




そして、頭の中の混乱がおさまらない中、もう一つ新たな問題が……。



「花枝先輩。そろそろ俺のこと、好きになってくれましたか?」


「……。あーうん。ごめんね。無理そうデス」


「えー。そっかー。俺は今日も先輩が好きなのになー」


「ハハハ…」



あれからというもの、無駄にキラキラした浅木くんとげっそりとやつれた私の攻防戦が繰り広げられていた。
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