下手くそな恋を泣きながら
「・・・帰らなかったら、どうなんですか?」
私も真剣に聞き返した。
私が知ってるのは
優しい先生
真面目な先生。
その先生が間違いを起こすわけないという期待と
私の知らない顔の先生が・・・
私だけを特別に
間違いを犯してくれるかもしれない期待。
すると先生は困ったようにくすくす笑う。
「ごめん。いくら何でも無防備すぎるから、忠告のつもりで言っただけ。
そんな顔しなくても、俺は彩葉の知ってる俺だから安心して。」
そう言って、扉を開けて外に一歩、足を踏み出して、振り返る。
「それでも・・・いなくなってくれてたら、安心かも。」
優しく笑って、先生は買い出しに出かけてしまった。
いなくなってくれたら安心なんて・・・
やっぱり
私が邪魔なのか
はたまた
私がさっき考えたような期待が起きてしまうのか・・・
ざわつく胸の中
ため息ひとつついて、リビングの真ん中に置かれたソファーに腰を下ろす。
なんだか一気に疲れてしまった。
前触れもなく、くるところまで来てしまったような気分だ。
バッグの中に入れていた携帯を確認してみると
あれきり部長からの連絡ははいってなかった。
それもそうだろ。
時間的には既に向こうは送別会が始まっている。
私のことなんてあれ以上気に留める理由が部長にあるわけないんだ。