下手くそな恋を泣きながら


「ここは・・・部長の⁉」

驚く私に頷き応える。

広い玄関

遠くから。カツンカツン地面を叩くような音が段々近づいてくると

中から、腰を曲げて杖をついたお婆ちゃんが姿を現したかと思うと、突然血相を変えて大きな声をあげた。


「透⁉

いつも連絡してきなさいと言っても、連絡もよこさないくせに。昨日突然、明日帰るなんて電話をよこしてっ・・・

ゴールデンウィークだって、殆ど顔を見せないでっ

私がどれだけ心配してるかあんたは知りもしないでっ・・・」

打ちっぱなしのマシンガンのように、部長を責めてたかと思うと

部長の隣に立ち尽くす私の存在に気づいた様子で

何やら突然、真っ青になるお婆ちゃん。


状況が理解できずに部長の顔を見上げた途端

またお婆ちゃんのマシンガンが打ち放たれる。

「この娘は誰っ⁉

何っ⁉

まかさかこんな子供を恋人だなんて言わないわよねっ⁉

信じられないっ⁉

何を考えてるの⁉」

何をそんなに必死になるのか分からなくて、あまりな態度に戸惑っていると、ため息をついて肩をすくませた部長が「少し落ち着けよ。母さん・・・」とお婆ちゃんを宥めた。


って・・・

お母さんっ⁉



驚いた私の頭に浮かんだのは自分のお婆ちゃん。

見るからに私のお婆ちゃんと同世代であろうこの方が部長のお母さん?

でも

部長がこの町に住んでいたのは中学校までのはず・・・

意味が・・・分からない。


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