下手くそな恋を泣きながら
「そんなに恋人を作ることを避けていたくせに、じゃあなんであっさり私と付き合いたいと思ったんですか?」
「それは・・・」
そう言いながら
部屋のタンスを開けて一冊のアルバムを取りだし開いて見せる。
そこに並んだ春坂先生の結婚写真。
「相手が森山じゃなければ一生独身でも良いと思ってた。」
私の隣に座り
アルバムをめくる。
あるページで、手を止めると
「この子が前に話していた俺の忘れられない子」
部長が指をさした写真。
結婚式の最後に皆で飛ばした風船。
それを
見上げる私の姿がそこには写し出されていた。
「・・・私?」
驚きのあまり、食い入るようにその写真をもう一度覗きこんだ。
その写真に写る少女。
それは確かに昔の私だ。
「あの晴れやかな日に、君、一人だけが最初から最後まで今にも泣きそうな顔をしてただろ。
式の間も披露宴の間もそんな君の事がずっと気になってた。
だって
君の視線の先には必ず片時も見失うことなく春坂がいた。
直ぐに分かったよ。
あの晴れやかなめでたい日に
君は一人、失恋の痛みと戦ってること・・」
「うそ・・・?」
「健気に涙をこらえて頑張ってる君を
無意識に写真におさめていた。」
そう言ってアルバムを閉じた部長は
その大きな手のひらで私の頬を撫でる。