下手くそな恋を泣きながら
そんな軽やかな気分の夕方。
今日も定時に仕事終了。なんてるんるん気分でパソコンの電源を切ろうとすると、横でまだ仕事をしている佳苗先輩。
定時に仕事終わらせないなんて「残業してる暇があるならエステに行くわよ」がモットーの先輩のくせに珍しい。
よく見ると、その顔色は少し青ざめている。
「・・・どうかしたんですか?」
嫌みな先輩だけど心配になって声をかけたのに
「気分が優れないだけよ。鬱陶しいから話しかけないで」と、いつも通り。
心配して損をした。
良い気分を台無しにされたような気分で帰ろうと思った時
、計算が済んでいない書類がまだ大量に残っているのが視界に入った。
余計なお世話かもしれないけれど・・・
「部長、佳苗先輩の体調が悪いので、私が代わりに残った仕事、やってもいいですか?」
部長席へ声をかけた私を驚いた様子で見上げた先輩。
「どうした?」と、驚いた部長に、先輩は「大丈夫です」と笑顔を作るけれど、そんな押し問答をしている間に、とうとう先輩はお腹を抱えてうずくまってしまった。
咄嗟に先輩を抱き抱える部長。
「医務室に連れてってくる。すまないが森山はできるところまで仕事しててくれ」
部長の腕の中でぐったりしている先輩。
それを目にして、ぽかんと胸に穴が開いたような気がして
何も言えずに二人を見送った。