下手くそな恋を泣きながら
私と違って何倍も仕事の早い先輩が出来なかった書類の量を見ると、かなり早い段階から体調が悪かったことが伺える。
残り少しとなって、肩の張りを感じる。
残業なんて初めてしたかもしれない。
すると、私の大好きな銘柄の缶コーヒーがすっと差し出された。
「ありがとな」
「部長・・・先輩は大丈夫でしたか?」
「いや、かなり体調が悪かったらしいから病院まで付き添ってきたよ。
急性腸炎だそうだ。
幸い明日は土曜だからな。ゆっくり休むように言ってきた。」
病院まで・・・付き添ったんだ。
「後は俺がやるから。帰っていいぞ」
帰っていいなんて言われても残りあと僅かだし、やりきりたい。
「大丈夫ですよ。あと30分もあれば片付きます」
「でも、もう暗いし」
時計は20時を過ぎた頃だった。
20時で暗いと言われても・・・確かに外は暗いかもしれないけれど、私は子供じゃない。
責任もって仕事をしている社会人なんだ。
「あまり子供扱いしないで下さい」
静かにまた、仕事を再開した私を暫く黙りこんで見ていた部長。
「別に子供扱いしてるわけじゃない。
心配だから言っただけだ。」
何が心配なんだか・・・