下手くそな恋を泣きながら
ようやく仕事が片付いた頃、部長の携帯が鳴った音が聞こえてきて
さっき、自分の携帯が鳴っていたことを思いだし、慌ててバッグから取りだし確認すると、不在着信のお知らせ。
相手は・・・
「春坂先生っっ⁉」
「春坂?」
ほぼ同時に私と部長の声が重なって、思わず振り返ると部長は電話中・・・
もしかして
その電話の相手は・・・
勢いよく電話中の部長に駆け寄る。
「春坂先生とお話ししてるんですか?」
そんなこと聞くなんてマナー違反と知ってても、焦る気持ちが収まらない。
部長は私を払うように背を向けるけど、負けじと食らいつく。
話の内容はどうやら、これから飲みに行くとかそういうものらしい。
・・・まさか春坂先生がこの近くに来ている⁉
電話を切った瞬間に私は部長に飛び付いた。
「今のっ!!今の春坂先生ですか⁉
私の携帯にも着信が入ってたんです!!
先生はっ⁉
近くに来てるんですか⁉」
部長のスーツの裾を引っ張りながら聞く私に、肩をすくませてみせる。
「そんなに興奮するなよ。
そう。
今の電話は春坂。
部活動の用事でこっちに来てたらしい。
明日休みだからこれから飲みにいこうって事になったんだ。
それを知れて満足したか?」
呆れた口調。
でもそんなことも気にならないくらい春坂先生からの着信に興奮していた私。