下手くそな恋を泣きながら
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待ち合わせていた個室居酒屋に着くと、堀こたつのテーブルで春坂先生は既にお酒がすすんでいたらしく、初めて私の前でも砕けた態度で「待ちくたびれたー」と、子供のように笑って出迎えた。
見たこと無い先生の″教師″を脱いだ素顔が新鮮すぎて照れてしまう。
こうして見ると
仕事使用もプライベート使用の顔も待たない私は、二人からしてみたらまだまだ社会人としてもひよっこなのかもしれないと感じる。
公私混同させない。それがデキる大人の条件なのか・・・
「春坂がこっちの方まで来るなんて珍しいな。」
私達は先生の向かいに腰を下ろすと、すでに部長と先生の会話が始まっている。
「来週のサッカーの予選試合のコート確認。」
相変わらず、サッカー部の顧問をしているのかと思うと微笑ましい。
「ここの鴨鍋は旨いぞ。彩葉もたくさん食べろ」とお玉を持った先生から、「俺がやる」と部長がお玉を奪う。
「やっぱり、誰かの上にいる立場の人って面倒見がいいんですね」二人の様子を見ながら感心して言葉を漏らすと、一瞬、春坂先生と部長の視線が合って、春坂先生が先に吹き出したように笑う。
部長ときたら私からそっぽを向いて俯いてしまった。
おかしなことを言ってしまったのかと、首を傾げると春坂先生は「彩葉はまだまだ可愛いな」と私の頭を撫でる。